2013年2月23日土曜日

筒井康隆×いとうのいぢが贈る衝撃作。「放課後ライトノベル」第107回は『ビアンカ・オーバースタディ』で

。だが,計画には,まさにうってつけの人材である。  そしてビアンカは彼に実験の手伝いをするように頼み,実験室に連れ込むと,ズボンのチャックから彼の性器を取り出して擦り,精液を搾り出す。ちなみに物語が始まって,ここまでわずか10ページ。飛ばしてるな,御大! ●「2010年代の『時をかける少女』」,その真偽は!?  一章の主な内容はビアンカが塩崎の精液を搾り出し,それを顕微鏡で観察するというもの。ここからどのように物語が展開していくのかと胸を高鳴らせていると,二章でも,ビアンカは再び塩崎の精液を搾り出し,それを自分の卵子と受精させて受精卵を作り出そうと企む。三章でも,やっぱり精液を搾り出して……とここまで読んで,「あれ,もしかして先生はライトノベルを本番行為のないポルノ小説と勘違いしているんじゃないかな?」と不安になってくる。  念のために帯を見てみると,「それは、2010年代の『時をかける少女』」なんて書かれているが,さっきからラベンダーどころか,栗の花の匂いしかしない。そんなことを思っていたら,ここらへんで,生物研究部の先輩である千原信忠(ちはらのぶただ),DarkBlood RMT,通称?ノブが未来人であることが判明し,物語はようやく動き出す。ちなみに未来人だと判明したきっかけは,ノブの精子が塩崎のモノと比べて貧弱だったからであり,そのノブの精子を搾り出したのはやっぱりビアンカである。いろいろと酷い。  ノブは未来で大発生した巨大カマキリを駆除するために,この時代でカマキリの天敵となる生物を研究していた。捕らえてきたアフリカツメガエルを改造し,巨大化させて戦わせるというのが現時点でのノブの計画だったが,ここでビアンカがとんでもない提案をする。 「このカエルの卵に、人間の精子を受精させるなんてこと、できるのかしら」  かくして,ここに未来技術と塩崎の精液を組み合わせた禁断の実験がスタートする。 ●ラノベにしてラノベにあらず。筒井康隆からの挑戦状  によれば,「この本にはふたつの読みかたがある,maplestory RMT。通常のラノベとして読むエンタメの読みかた、そしてメタラノベとして読む文学的読みかたである」という。  この“メタラノベ”が何を意味するのかは,実際に読んでみて各自考えてもらいたいのだが,一つ言えることとして,本作では一見するとライトノベルのお約束を守っているように見せかけながら,ところどころでその典型を裏切る構造になっている。  たとえば,本作の主人公ビアンカは,好奇心と行動力に溢れる知的な美少女である
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